ナオミちゃんインタビュー、最終回!
芸術の語り部の勢いは止まらず、進む!進む!
本人は今何を想い、絵に打ち込んでいるのか...
N:
McEnroeばかり求められてて、自分の中でそうじゃないんだよなって思いがあったんですよね。
いろんな物を見て、いろんな人と出会って、自分の世界はどんどん広がってましたから。
Z:
McEnroeは、かなり求められたのですね?
N:
Tシャツにしても、雑誌のロゴとかにしても依頼が来たら、だいたいMcEnroe風でって言われてましたから。
その時は自分のやりたい事がそこには無かったですからね。
それを口で言っても分からないんですよね。
『 ああ〜...また面倒くさい事アーティストが言ってるな... 』みたいな感じになるんですよ。
Z:
まあね(笑)
N:
でもアーティストは言葉じゃなくて、形にしてなんぼですからね。
そういった意味でこの作品は言葉なくして、形に出せたと思うんですよ。
そこから、描いて、描いて、描いて、を繋げて、洋服がスローダウンしていって、絵を描く時間が増えて、今のスタイルが出来上がったんですよね。
Z:
これですか!
N:
この作品とかは究極ですよね、現状の。
どんどんミニマルになっていった感じで。
僕は頭で考えて、複雑にしてしまう傾向があるんですよね。
でも、そうすればするほど迷いも増えちゃうんですよ。
そういうのではなくて、求めてるものは自分と直結してるものなんですよね。
今、世界的に見ると和風っていうか、和のテイストでポップみたいなのが受け入れられてると思うんですよ。
もちろんそういった感覚を自然と出来てる人も居ると思うし、そうじゃなくてそこをマーケティングしてやってる奴らも居るだろうし。
Z:
絶対数で言うとマーケティングしてやってる奴らのほうが多いですよ。
N:
そうですよね。
自分の作品はそういった時代が無い絵なんですよ。
絵は自分自身ですから。
そう考えると絵で食っていくって、すごく難しいことだと思うんですよ。
そんな中でSHOWをやらせてもらえて、絵やポスターが売れてって考えるとすごい事だと思うんですよね。
今まで自分は常にコップに水が満タンに入ってて欲しいと願ってたんですよ。
もちろん絵を追求する上で、満たされたいからコップを満タンにしたいです。
でもリアリティとして時代があったり、マーケティングがあったりする。
そこに合わす事をすると、一生コップは満タンにならないと思うんですよ。
自分の描きたいものを描かせてもらえて、食えるほどじゃないけど買ってくれる人達が居てって考えると、かなりラッキーなんですよね。
Z:
そうですよね。
N:
コップに水が半分入ってたとすると、半分しか入ってないってことじゃなくて、半分も入ってる! って見方だと思うんですよね。
Z:
今の時代、それに気付いてなかったらヤバいですよ。
N:
そうですよね。
Z:
今の時代は満タンを求めてる人がいっぱい居ると思うんですけど、それを求めてたらこの先はキツいですよ。
半分ぐらいで納得じゃないですけど、オッケーにしとけばこの先も大丈夫だと思うんですよ。
常に満タンなんてキープできないですからね。
半分に減らせば、また満タンになる時が来ますけど、人間って良い時があるから満タンって味わうじゃないですか。
満タンから減っていくと、満タンにしたくなるんですよ。
その為には嫌な事もしなければいけないし、もっと違う事もしていかなければならないですからね。
半分で良ければ自分のやりたい事をやっていけますもんね。
N:
そう! そこなんですよね!
絵そのものに対しては半分というわけではなく、満たすべきだと思うんですけど、それで食えるか食えないかを悩むのはお門違いかなって、最近思うようになったんですよね。
まあ、子供が居ますから責任の部分がありますけど、そこで洋服をやってしまうと大変なんですよ。
洋服もフルで頑張って、絵もフルで頑張るっていうのは正直キツいです。
最近は体を使って仕事をしてるほうが気持ちがいいんですよね。
体を使うと前向きになれるし、全然違う行為だけど『 よっしゃ〜! 今日は仕事頑張った。残りの時間は絵に使える! 』っていう時間の配分ができるんですよね。
時間と自分のエネルギーをどこにどう使うかですね。
バイトのほうだとクリエイティブな部分って求められないじゃないですか。
Z:
ええ、確かに。
こなす事を求められますよね。
N:
だから楽なんですよね。
もちろん絵で食べていけたらいいなって思いますけど、今の自分のスタイルを考えると1つの作品を作るのにすごく時間がかかるんですよ。
だからそれを売りたくもないんですよ。
自分の時間と労力を一番費やしたものは、できれば葬式で飾りたいなって思うんですよね。
他の作品に関しては売り物っていうか、だからと言って手を抜いたことではないんですけど。
とにかく、あまり先を決めつけてやるより今、ここ、です。
NOW HEREな生き方しかないんじゃないかなって思いますね。
この10年だけで、今話してきたようにいろいろあったんですから、間違ってないような気がするんですよね。
このまま自分らしさをもっと追求して、責任の部分も全うしてやれれば幸せなんじゃないかなって思うんですよ。
Z:
自分もナオミちゃんと付き合い長いですけど、さっき話したマッケンロー、丸の時も周りから反響があったじゃないですか。
また自分がオッケー! っていう時が来ると思うんでよね。
勝手について来るものですから。
N:
そうです、そうです。
Z:
自分もいろいろやってきましたけど、自分っぽくないなって思ってやってる時は納得もしてないし、お金が発生したとしても結局は繋がっていかないんですよ。
一瞬、繋がってお金は入ってきますけど、次には繋がらないですね。
自分で納得がいってて、反響があった時はその後もずっと続きますもんね。
でも常に同じことをやってるのは嫌だし、新しいことをやっていきたいと思ってるんですけど、その狭間に今ハマってる感じですね。
それを経験してない人って居ないと思うんですよね。
テレビとか観てても、大会社の社長は絶対に苦労してるし、苦労しなかったら次にも進めないですよ。
この2年ぐらい大不景気っていわれてるけど、いろいろ見えたから良かったと思うんですよね。
景気が良かったら見えないですよね。
お金だけを追いかけたヤバい人間ばかりになっていくところでしたよ。
N:
本当にそうですよね。
Z:
友達が大事とかも分からないし。
N:
やっぱり人間ってどんどんハングリーになっていくと思うんですよね。
松井とかイチローって凄いと思いますよ。
金があるのにあれだけハングリーになれるっていうのはね。
でも、奴らにはできない時間とエナジーの使い方が自分にはありますからね。
比べることもできないけど、自分にしかできないことができてるっていうのが誇りです。
それに気付きましたね。
前まではMcEnroeに反応されてても、リアリティがそんなになかったんですよね。
もちろん、自分が良いと思ってやってるから、反応してくれれば嬉しいですけども違和感みたいなものも感じてましたよ。
STUSSYにしても、丸しか描けなくなった自分の作品を使ってくれた時、壁を越えられた気がして納得もしたけど、周りとの温度差みたいなものもあったんですよね。
STUSSYというものを介してるんですけど、自分はSTUSSYを着る人間じゃないんですよ。
Z:
着ないですよね(笑)
N:
だからタイプが合わないんですよね。
大図もそうですよ、自分以外はグラフィティライターで、ヒップホップですから。
俺だけニルヴァーナでロックですよ。
ただ、違うジャンルの人と仲良くなれる、それって凄く良いことだなとも思うんですよ。
周りはスケーターだけど、俺だけサーファーですしね。
それを通じてスケートやって感じるんですけど、サーファーって個人プレイのスタンスですけど、スケーターって温かいんですよね。
仲間意識があって、シェアすることを知ってるというか。
そんなことを考えてると、自分って何かにハマらないんですよね、きっと。
本当、ナオミなんですよ。
だからマーケティングに乗りづらいので、物を売りづらいとは思うんですけどもね(笑)。
それって面白くないと思うんですよね。
この国は右向け右、安全・安心が大好きな国だから、自分にとってはやりづらいかも知れないですけど、何かをコンプレックスに考える必要はないんじゃないかなって感じますね。
突き進めばいい! って絵が教えてくれてたと思うんですよ。
次は、McEnroeや丸を通さず、ダイレクトに繋がれるかも知れないですね。
そんな幸せなことないですよ。
だから極論、やるだけってことです。
Z:
まあね(笑)。
最終的には。
N:
1日24時間、その日その日をどういう風に過ごすのかってことですよね。
Z:
最近はどういうことをやってるのですか?
N:
絵ってことですか?
Z:
ライフスタイルは? ってことで。
N:
最近はまず、バイトを3つ。
まず朝6時半からの八百屋の配達ですね。
Z:
それは毎日やってるのですか?
N:
ほぼ毎日ですね。
それとアパートの掃除が月1回。
あとは週末に大仏のハイキングコースにある喫茶店ですね。
Z:
そうなんですね〜。
N:
昔の人って知恵を持ってるじゃないですか。
今はそれをインターネットやiPhoneのような道具でカバーしちゃいますよね。
だから道具がないと成り立たなくなってるんですよね。
昔の人って代々受け継がれてきた知恵があるから、道具がなくても平気なんですよ。
Z:
なるほど、そうですね。
N:
基本的に絵を一日中描いてると体を動かさないでしょ。
絵を描くことは自分との対話でもあるし、インナートリップみたいなところがあるから凄く良い行為なんですけど、体力的にキツいんですよ。
同じ態勢でずっと描きますからね。
それを毎日繰り返してると、ネガティブになる時があるんですよね。
すぐに終わるような絵じゃないですから、長い間トンネルの中で光りが見えてこないと、終わるのかな? って思って妙な方向に進むんですよ。
ふと気が付くと、やっぱり体を動かしてないんですよね。
体を動かさないと前向きにならないんですよ。
何ヶ月もかかる絵だから、やっぱり体を動かすことも取り入れないとダメなんですよね。
それに今の食べ物って注意しないとカロリーが高いのばっかりじゃないですか。
今はまだ若いから良いですけど、そんなのばっかり食ってたら病気になりますよ。
Z:
そうですよね。
N:
バイトは山の中の喫茶店だから、自転車で行くんですけどアップダウンが激しいんですよ。
それがね、何か気持ち良くなってくるんですよね。
体動かすと酒も美味いです。
八百屋の配達も体を動かしますし、掃除なんて特に最高ですよ。
掃いてるとだんだん体が温かくなってきて、しかもどんどん自分の中に入って行くんですよ。
それに加えてお金がもらえて、綺麗になって、周りの人が喜んでくれる。
お金払って食べたカロリーを消費する為に、お金払ってジムに通って、労力と時間を使うのって要領が悪いと思うんですよ。
その掃除のバイトをひとつやるだけで、エクササイズできて、その場が綺麗になって、自分を見つめ直すことができて、しかもお金までもらえるんですよ。
Z:
オイシイですよね。
N:
それって凄く要領がいいと思うんですよ。
昔の人ってそれが当たり前だったんですよね。
Z:
そうですね。
N:
朝起きて、農作業して。
Z:
太ってないですもんね。
N:
農作業はエクササイズにもなって、ただで自然から食べるものをもらえるじゃないですか。
今ってそういうことじゃなくて、あれもこれもって足していくことばっかりだと思うんですよね。
消化することが少ないんですよ。
絵に関しても、複雑なことをやるっていうのは足して足してって感じになるんですよね。
iPod持ってるのに、iPhoneも持ってるみたいな。
保持してるエネルギーをどう使うかってことに気付くと、見方が変わってきますよ。
プリウスに乗ったらエコか?
いやいや、自転車に乗ってる奴が一番エコでしょ。
エコにも貢献して、エクササイズにもなりますからね。
Z:
本当ですよね。
N:
だから何度も言いますけど、絵も複雑なことになるんじゃなく、コンセプチュアルでもなく、ド直球でシンプル、なおかつ深みのあるものになってきてる感じがしますね。
絵って微妙なんですよ。
無くても成り立つ世の中、って言いたくないけど、極端な話、人間って食べ物さえあれば生きていけますよね。
そう考えるとアートって一番最後に来るようなものだと思うんですよね。
でも絵って食べ物を越える可能性ってあるんじゃないかな? って考えるんですよ。
人間にとって一番ダイレクトなものが食べ物で、その次が音楽だと思うんですよ。
音楽もダイレクトなものだと思います。
その次に来るのが芸術だと。
世の中的に価値観が変わってきてるから、アートってそういう風になれると思うんですよね。
ダイレクトなもの、自然を知ることって面白いと思うし、自然には敵わないんですよね。
宗教とかはよく分からないですけど、自分が唯一信じれるものは食べ物なんですよ。
自分の宗教は食べ物ですね。
食べ物を養ってくれる自然は神様なんですよ。
そのシンプルで力強い世界観が自分は好きで、それを表現したいと思うんですよね。
Z:
ナオミちゃんならできますよ!
N:
はい!とりあえず、アイスクリーム(笑)。
Z:
読んでる人は何のことやら分からないと思いますけど、とりあえずアイスクリームやりましょう(笑)
最後にアイスクリームって何やねん! っていう(笑)
N:
1回しかない人生ですから、好きなことを一生懸命やったほうが良いですよ。
Z:
放っておいても死にますから。
死ぬ間際にあれもやって、これもやってと思うより、やってから死んだほうが絶対良いですからね。
N:
いや〜、本当にそうですよ。
やるならその時にしかできないことがあるから、それをやるべきなんですよね。
Z:
そう! だからアイスやりましょう!
N:
やりましょう!Ben & Jerryで。
Z:
ありがとうございました!
N:
ありがとうございます!
絵は感性とテクニックだけで表現できない。
その人の育ってきた原風景があり、生活があり、心がある。
ナオミちゃんの作品からは、それがありありと滲み出ています!
後悔のない人生を歩む姿は、素敵に輝いて眩しいばかりです!
次回の更新日は4月5日です!