INTERVIEW

須永辰緒其の四

12/01/09

ZERO MAGAZINEインタビュー!

須永辰緒さん、いよいよ最終回!

自身のレーベルの話や、JAZZの解釈、最近の活動などについてもいろいろ語っていただきました!

もちろん!

ZERO MAGAZINE的に避けては通れない、あのグループとのエピソードもあります!

最終回も存分にお楽しみください!!!



Z:
ECDさんとはどれぐらいの期間、一緒にやってたのですか?

T:
え〜っと、彼がavexに入る前ですから、3年ぐらい一緒にやってたかな。

MAJOR FORCEの頃、石田さんはECD名義だったので、その後だったと思います。

ECD & DJ DOC HOLIDAY名義で作ったのは、1曲しかなくて、高橋健太郎さんプロデュースの『Tokyo Disc Jockey's Only』に収録されているヤツだけですね。

他に、TOKTO No.1 SOUL SETや福富君の楽曲なんかが入ってたコンピレーションです。

Z:
はいはい、ありましたね。

T:
MAJOR FORCEでは、ECDとDJ DOC HOLIDAYは別々に参加してますからね。

Z:
ECD & DJ DOC HOLIDAY名義では、そのコンピレーションの1曲だけなんですね。

T:
活動歴が長い割には、音源を作ってなかったね。

Z:
その後ぐらいに、GAS BOYSのプロデュースをはじめるんですよね?

T:
まず、TOOLS BARで開催してた"Club of steel"に、MUROやDEV LARGE、YOU THE ROCKやBOY KEN、BBPクルーなど遊びに来てたんですけど、そこにGAS BOYSもいたんですよ。

みんな毎週来て遊び狂ってましたね。

その頃、俺はMAJOR FROCEから作品を出してて、スチャダラパーもデビューしたぐらいの時期だったかな。

同時期にやってたGAS BOYSやYOU THE ROCKも、すごくおもしろかったんで、MAJOR FORCEに出してくださいってお願いしたんですよ。

自分がプロデュースしてどうこうじゃなくて、とにかくいいアーティストだからってことでね。

でも、MAJOR FORCEの見解としては、まだ音源を出す実力には至ってない、ってことだったんですよ。

それならばと、付き合いのあったナツメグレーベルに話を持ちかけたら、自分でレーベルをやったらどうですか? ってことで、やらせてもらうことになったんですよね。

Z:
Rhythmですよね。

T:
そうです。

最初はレーベルっていっても、何をどうしていいのか分からない状態だったので、DUB MASTER X宮崎さんやエマーソン北村さんといった先輩の方々から助言を受けつつ、手探りで進めていきましたね。

そんな流れで、TOOLS BARに集まった連中を中心にリリースをしていくんですよ。

まずGAS BOYSを出したい、っていう思いが強かったですね。

"公衆便所"という曲が世に受け入れられるのかどうか?

っていうのを試したかったんですよ(笑)。

Z:
"公衆便所"はGAS BOYS CLASSICですよね。

T:
とにかく"公衆便所"っていう曲を出したくて、作ったんですよ(笑)。

Z:
COCOBATとやってますよね?

T:
あれはたしか新宿のUNIONかどっかでCOCOBATの坂本君と知り合ったのかな?

それでライブを観に行ったんですよ。

彼はすごいベースじゃないですか。

Z:
そうですよね。

T:
こんなすごい子がいるんだ!って思って衝撃を受けましたね。

ちょうどその頃にGAS BOYSとCOCOBATも仲良くなってたんですよ。

彼らもスケーターのシーンでモッシュとかやって暴れてましたね。

俺はもうモッシュできる年齢じゃなかったですけど。

Z:
辰緒さんは、その頃おいくつでした?

T:
30歳になってるか、なってないかぐらいですね。

他に、VOLUME DEALERSやNUKEY PIKESとか、その頃はそういったスケーター系のライブをよく観に行きました。

GAS BOYS自体もそういったシーンとの交流が強まっていきましたね。

Z:
先日、当時のフライヤーを今井君に借りたんですよね。

NUKEY PIKESと、GAS BOYS、あと大阪からR.F.D.といったメンツで代々木チョコレートシティかどっかでやったと思うんですけど。

T:
ああ、それは俺企画のヤツだね。

Z:
そうですよね。

T:
もうちょっと大きなハコで、そのメンツ+電撃ネットワークっていうのもやったことありましたね(笑)。

なかでもVOLUME DEALERSがいちばん好きでした。

自分のソロアルバムで1曲やってもらったぐらい好きです。

サイケデリック・ハードコア!これ、造語ですけど。

Z:
VOLUME DEALERSはヤバいですよね。

そういえば、3年ぐらい前にテツロウ君に会ったんですよ。

それから久しく会ってないですけど。

そのときVOLUME DEALERSが復活してて、ライブを観ましたよ。

T:
へえ〜、そうなんだ。

それで、レーベルをはじめてからは、自分で好きに出せるようになったんですけど、当時はまだ出せるレベルのアーティストが、そんなにいなかったですね。

そういう意味では結局、MAJOR FROCEのジャッジは正しかった、ってことになるんだけど、俺みたいに儲けなしで広げていくっていう動きがなかったら、次に繋がっていかないじゃないですか。

Z:
たしかに、そうですね。

T:
そういう動きがあるからこそ、目指す人が出てくると思うんですよね。

Z:
じゃあ、"公衆便所"を世に出せてよかったですね。

T:
そうだね、あれはよかったです。

Z:
やっぱりあの曲は、すごいですよ。

アナログをもらったの憶えてます。

T:
俺、あのアナログ持ってないかも。

あーゆーのって、人にあげてるとなくなっちゃうんだよね。

Z:
GAS BOYSとはいろんなことがありましたよね?

T:
まあね。

後から考えるとすごく分かるんだけど、あのときは怒り狂ってたし、自分の無力さが、ほんとうにイヤになってましたよ。

DJをやめたぐらいでしたから。

Z:
え? そうなんですか?

T:
うん。

当時は、こういう世界で生き残っていくためには、綺麗事だけじゃ済まない。

男としてやっていけない世界だなって思ったんですよ。

そんならDJをやめて別の仕事をやろうって。

考えてみるとね、ヤツらは俺の恐怖政治から亡命したいだけだったんだよね(笑)。

被害者。

Z:
実はGAS BOYSの面々に、そのあたりのことを聞いたんですよ。

彼らはメジャーから出すことをナツメグの社長さんに伝えて、辰緒さんにはどういう流れでお話すればいいですか?って聞いたら、

『じゃあ、辰緒さんには俺から言っとくよ』

って、社長さんに言われたらしいんですよ。

それでメンバーも大丈夫だと思ってたみたいなんですけど、レコーディングするときに、

『やっぱり辰緒さんに直接伝えないとヤバいんじゃないの?』

ってことになって、誰が電話するかジャンケンしたらしいんですよ。

今井君が負けて、いざ電話してみると、辰緒さんにメジャーの話が伝わってなくて、これはヤバい......ってなったみたいで。

T:
俺がメジャー移籍を知ったのは、アルバムが出るって時だったんだよ。

それで怒り狂ったものの、これで会場に乗り込んでいって、大暴れしたところで、自分が惨めだなっていうかね。

暴れるよりは、こういう世界から抜けることを考えましたね。

ナツメグの社長が立ち回っていたのも後で聞いたけど、レーベルをやらせてもらった恩もあるし、メジャーにいくことによって今までのお金を回収したりとか、そういう事情もあるんだろうなって。

でもね、筋が通ってねえじゃん、って思ったんですよ。

今まで好き勝手やってきたのに、そういう大人の世界が見えちゃったのが、なんか厳しいな...って感じたんですよね。

そういうことを考えてると、DJをやるのもおもしろくなくなってきちゃって...。

どうしてもやめられないイベント以外は、すべてキャンセルしたんです。

高木完ちゃんと、MAJOR FORCEのK.U.D.O.さんと一緒にやらせてもらってたイベントだけは続けてました。

Z:
なるほど、そうだったんですね。

自分もそういった一件でモメてたって聞いたことがあったんで。

T:
モメてたっていうかね、イヤになっちゃったんだよね。

結局、GAS BOYSはメジャーで、いいプロデューサーの元でいい作品ができて、アルバムを3枚出したのかな。

雑誌のFineとかでも見るようになって、ほんとうによかったなって思いましたね。

Z:
その後、HIP HOPから遠ざかっていった感じですか?

T:
HIP HOPは相変わらず好きだったけど、だんだん趣味が変わってきて、ネタ元のFUNKやJAZZにハマっていったんですよ。

『ULTIMATE BREAKS & BEATS』ってあったでしょ?

あれの影響が大きかったですね。

BLACKだのWHITEだの関係なく、FUNKだのPUNKだの関係なく、オリジナルのスタイルがD.I.Y.なんじゃねーの?

っていう風に頭が柔らかくなってきたんですよね。

時を同じくしてHIP HOPでは、プロデューサーのEASY MO BEEが出てきたんですよ。

EASY MO BEEの音を聴いて、今後のHIP HOPの音はこうなるんだろうなって思ったら、興味がなくなっちゃったんですよ。

サンプリングに規制がかかった時期と合致するんだけど、EASY MO BEE以降は音が太すぎるんだよね。

もともとは、サンプリングして人の曲を切り刻んで、おもしろおかしいことを、よく言えば「デュシャン」的なHIP HOPだったのに、いかに太い音を出せるかみたいな、趣味とは無縁の方向に進んじゃったでしょ?

自分のなかのPUNKなHIP HOPじゃなくなっちゃったんですよ。

Z:
たしかに、そうなってますね。

HIP HOPの音源自体、オリジナルの楽曲になっていきましたもんね。

T:
そうなんだよね。

あとは、スキル勝負みたいになってるしね。

俺は、そういったことにもあんまり興味がないんだよね。

Z:
そういうのがあって、元ネタのほうにハマっていったんですね。

T:
どっちかっていうとね。

その当時は、今よりまだ面白いHIP HOPがあったから聴いてたけど、HOUSEはまったく好きになれなかったね。

Z:
自分がその何年か後に辰緒さんに会ったときは、お洒落な感じになってました。

T:
そうでしょ(笑)。

みんなによく選曲がお洒落だって言われるけど、今まで話したような経緯があって、そういう風になっちゃってるから実は筋金入りのPUNKなお洒落ですよ。

スタイルがPUNKってことは、オリジナルってことです。

そこが自分のスタンスのモチベーションになってる。

誰もやってないことを、ダンスフロアで成立させてやる!ってことが、俺のPUNKですね。

決して気取ってるつもりはなくて、結果、お洒落になってるだけのことです。

今はJAZZだけで勝負するっていうのが、俺のスタイルですね。

そんなことを強く思ってます。

Z:
最近の活動はどんな感じですか?

T:
相変わらず人の曲の世話をしたり、REMIXやプロデュース、あとは自分の名義でカバー集のアルバムがリリースされたり、コンピレーションの『夜ジャズ』の新作も出てますね。

『夜ジャズ』はさらにしばらくシリーズでリリースされます。

DJは東京と大阪でレギュラーが4本かな。

今は好きなことしかやってないですね。

Z:
イチオシのバンドとかありますか?

T:
う〜ん、なんだろうな...あるけど最近リリースしてないからな。

相変わらずのフェイバリットは、Lou ReedとPublic Enemyですね。

そこからずいぶん距離をおいてJAZZのミュージシャンとかがいたりするけど、いま話した2つのアーティストは、自分の中でずっと変わらないです。

Z:
やっぱり、Public Enemyは、いちばん好きなんですね。

T:
ええ、Lou ReedとPublic Enemyは永遠のフェイバリットですね。

Z:
もう、HIP HOPのDJはやらないのですか?

T:
たまにHIP HOPでやってくれって言われてやりますね。

この前もHIP HOPのMIX CDが出たんですよ。

Z:
ええ、ありましたね。

かなり話題になってました。

T:
HIP HOPでやれって言われればやるけど、いまはHIP HOPのおもしろいDJがいっぱいいるから、わざわざ俺がやらなくてもいいかな(笑)。

Z:
自分はたまにイベントやってるんで、ぜひオファーしたいんですけど(笑)。

辰緒さんの違う一面を見たいといいますか。

T:
じゃあ、考えますよ。

"須永辰緒UK"じゃダメ?

Z:
あ、PUNKでもいいですよ!

それやってもらえます?

T:
ええ、いいですよ。

ベースも持っていきますよ(笑)。

Z:
JAZZじゃない辰緒さんをオファーしてみたいんですよ。

T:
Oi PUNKでよければやりますよ。

Z:
それは熱いです!

ぜひ、よろしくお願いします。

今日はありがとうございました。

T:
はい、どーもです。



いまでは薄れてしまったDJの師弟関係......。

そこで培われた反骨精神がPUNKであり、JAZZにせよ、HIP HOPにせよ、既存のものを打ち砕いて進むことがPUNKというスタイルだと痛感しました!

辰緒さんが語った、

"誰もやってないことを、ダンスフロアで成立させてやる!ってことが、俺のPUNKです"

というフレーズが印象的でした!

ZERO MAGAZINEでも"須永辰緒UK"でスピンされる日を楽しみに、今後もお送りしていきたいと思います!


次回更新日は1月16日、月曜日です!
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